冴える歌鳥との付き合い方 (1話)
Everything tries to kill you in Australia.(オーストラリアでは、あらゆるものがおまえを殺そうとする)
というミームがあります。
しかし、まさかこんな美しい模様に鳴き声の鳥に??という体験をしたので共有します。
英語で調べると情報が多いのですが日本語での紹介が少ないので役にたてれば……
ちなみに痛いし2回くらい怪我させられたので攻撃されるのは嫌なんですが、調べているうちにこの賢い鳥へのいかりは共感に取って代わっていきました。2回に分けてその経緯を説明したいと思いました。1話では生態及び攻撃対策。2話でこの鳥と共に生きる上で役立つ話を載せたいと思います。
・なんていう鳥なの?
ーカササギフエガラス(Australian Magpie)という名前
英名は、英国からやってきた人たちが勝手に地元のMagpie(カササギ)に似てるからと名付けましたが実態は全く縁遠い。
このように白黒でちょうど良さそうな肉つきの鳥で、日本語名だと「カラス」とついてますがどちらかというとモリツバメに近く、鳴き声が美しく鳥同士で歌をささやきあっているように感じられます。
この鳥は、オーストラリアの人たちから愛されており、餌やりをしている方も多く見かけます。
しかし、毎年春・子育ての時期になるとこの鳥に攻撃される人があとを絶たないというのです。
こんなサイトがある......
https://www.magpiealert.com (1)
このサイトによると、今年7月末以来、既になんと686件の攻撃・81件の負傷が報告されています。(17:55/3Sep, 2019確認)
このサイトは、ユーザーがカササギフエガラスの攻撃を体験すると日時と場所を報告できる仕組みになっています。
調べたら、私を攻撃してきたカササギフエガラスも報告されていました。場所は明かせませんが、攻撃してくる位置と一致していました......
そして、気づいたら私もユーザー登録して報告していました。
・どうやってこの生態について知ったの?
ー2週間に及ぶ直接体験の末にネットで調べて。
私はそもそも、この白黒の美しい鳥の名前すら知らず、攻撃してくるとはつゆも思っていませんでした。むしろキバタンっていう黄色いアホ毛がついた白いやつのが危なそうと思ってただけに、完全に不意をつかれました......
※キバタン、そこら中にいてめっちゃうるさく「ギャーギャー」と鳴くので作業に集中できなくてうざいやつらです。夕方になると大軍が空を飛ぶ。オウムの仲間。木場たんかわいい。誰か擬人化して(病気)
脱線しました。体験談に戻ります。
ある8月の下旬のこと。学校に向かう途中、突然ヘルメットに軽い衝撃を感じました。全く痛く無かったがそれが数秒置きに3回ほど続きました。その後羽ばたくような音がしたので横を見ると、白黒の鳥が立っていたのです。これが全ての始まりでした。
それはあくる日も、そのまた次の日も続きました。前触れなく、見えないところから突然攻撃されます。特徴的なのは同じ場所で、頭を狙って後ろから急降下爆撃してくること。しかし、攻撃は日を追うごとに過激化していったのです。
はじめはヘルメットにコツンと当たる程度でしたが、2週目になるとヘルメットだけでなく耳や横顔を爪で攻撃されるようになっていきました。さらにいうと攻撃範囲も広がっていきました。
私は白黒のヘルメットをかぶっていたので、1週目は「仲間と誤認して体当たりしているのかなぁ、しょうがないなぁ」程度にしか思っていませんでした。
しかし、2週目になったある日、鳥の攻撃により耳を怪我しました。軽い怪我でしたがこの時に及んでようやくオーストラリアの様々な鳥の生態を調べました。そこで英語のページから、”Magpie Attack”がオーストラリアの春の風物詩ということを知ったのです。
後々、調べるのが遅すぎた、また周辺住民だけでなく、この鳥にとっても悪いことをしてしまったと反省することになりますが、それはまた別の話です。
・なんで攻撃するの?対策は?
※この鳥は多くの州法により保護されています。射殺や投石など危害を加える行為は原則違法です。
カササギフエガラスに生態については、国から市民レベルまでの様々な研究がなされており、攻撃行動に関する理解を広めるために以下のようなしっかりとしたウェブサイトも作られています。
http://www.magpieaholic.com/ (2)
攻撃への対策については、上に示したサイトのほか、ガーディアン誌の記事(3)・ACT政府(4)や個人(5)が出しているYouTube動画などが非常に役立ちました。
(2)のサイトによれば、春になるとカササギフエガラスにとっては子育ての時期になり、ひな鳥を守るために主にオスがこのような威嚇行動を取るとのこと。攻撃する場所は主に頭の上(ヘルメット)で、まれに耳や横顔・ひどい場合には目を攻撃します。しかし、実際に威嚇行動をとるのは全体のうち1割程度で、怪我に至るような場合はさらに少ないみたいです。この鳥は学習能力に優れ、ガーディアン誌の記事(3)によれば25年経っても同じカササギフエガラスに攻撃され続けた男性もいるとのこと。それから、歩行者よりも自転車が狙われやすいようです。
私見ですが自分を攻撃してきたカササギフエガラスも最初は弱い衝突だったのが激しくなっていったように、接近者の接近頻度や速度からその都度脅威度を更新し、その脅威度に応じた迎撃をしているのではないかと感じています。ある意味パブロフの犬のように人間への攻撃を条件づけられていると捉えてもよいかもしれません。とすれば、ヒトの生息範囲が野放図に拡大していった結果としてヒトとこの鳥の接触が増えたことによって、この威嚇行動が頻発するようになったのではと思うわけです。
(4)(5)の動画をまとめると具体的な攻撃対策として、
・攻撃された場所を迂回する←これ大事
・自転車から降りる
・頭の横で手を広げる
・鳥と目を合わせる
などがあるようです。
ヘルメットにたくさんのワイヤをつける人も見かけますが、面倒なのでやるつもりはないです。
また、怪我防止としてはメガネやグラサンをかけ、耳や首を布(ネックウォーマーやタオルなど)でカバーするとだいぶ楽です。
実際にこれらを実施してから攻撃されることは随分と減りました。
それから、この鳥は昼行性のようで、夜に同じところを通っても攻撃されませんでした。個人体験なので話半分ですが日が沈めば大丈夫っぽいです。
それでは!
*Citations
(1)Link in the main text
(2)Same as above
(3)“When magpies attack: the swooping, dive-bombing menace – and how to avoid them” https://www.theguardian.com/environment/2017/jun/28/when-magpies-attack-the-swooping-dive-bombing-menace-and-how-to-avoid-them (Retrieved 27Aug, 2019)
(4)“Magpie season swooping tips” https://m.youtube.com/watch?v=Fbkaa0JglK0&feature=youtu.be (Retrieved 27Aug, 2019)
(5)“When Magpies Attack! // Six Tips To Avoid Swooping Magpies” https://m.youtube.com/watch?v=47dmip4eJtA (Retrieved 27Aug, 2019)